肋骨多発骨折の重症例 フレイルチェスト


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呼吸をする際の胸郭の動き
 
72-2.png吸気                   呼気

多発肋骨骨折のうち、①連続する3本以上の肋骨が、それぞれ2か所以上で骨折したとき、②胸骨骨折に両側肋軟骨骨折を合併するときは、胸郭全体との連携が絶たれるので、奇異な呼吸をすることがあります。奇異な呼吸というのは、吸気時に陥没する正常の呼吸運動とは逆の動き で、吸気時に陥没し、呼気時に突出するという動きになってしまうのです。そのことをフレイルチェストと呼んでいます。

フレイルチェストは、胸部外傷の中でも最も重い症例です。重い呼吸不全から死に至ることがあります。

フレイルチェストは、大きな外力が胸部に加わって発生するものです。交通事故での外傷や高所からの墜落、挟圧外傷(※)に伴ってみられます。※挟圧外傷=挟み込まれたことによる外傷

フレイルチェストの主な症状は、呼吸のたびに走る胸部の激痛、それに伴う呼吸困難、血痰、皮膚が紫色になるチアノーゼ、皮下血腫などです。

 呼吸運動を観察すると、シーソー呼吸(奇異呼吸)みられるほか、損傷部に手を当てると、肋骨骨折を発症したことによる軋轢音を感じます。

胸腔内の合併損傷を診断する目的で、まずは胸部の視診、触診、聴診、打診をおこない、次に血液検査、胸部単純X線撮影、CT検査などをおこないます。

フレイルチェストの治療方法は、気管挿管または気管切開をおこない、陽圧人工呼吸を2~3週間続けることにより、肋骨骨折部を内側から固定し、胸郭の整復と骨癒合させる人口呼吸療法が行われています。長期の人工呼吸管理が予想される場合は、肺の合併症が大きな問題になるので、人工呼吸器を使用しないで手術による固定もおこなわれています。


フレイルチェストの後遺障害のポイント

フレイルチェストは、肋骨骨折では重症例として扱われています。しかし、的確な治療をおこなえば、後遺障害を残すことは少ないようです。

フレイルチェストの症例をご紹介します。普通乗用車の助手席に同乗中の43歳の男性の事故です。右折中に、対向直進車の衝突を受けました。傷病名は「左第2~6肋骨骨折、左肺挫傷、左鎖骨遠位端骨折、左肩甲骨骨折」で重傷であり、左第3~6肋骨骨折でフレイルチェストとなっていました。

治療は、集中治療室(ICU)において、気管挿管で陽圧人口呼吸管理が続けられました。左肺全体に肺挫傷を患っていたので、主治医も酸素化が維持できるか懸念していましたが、2週間で抜管できるまでの回復をみせました。

受傷から6か月で症状固定、左鎖骨遠位端部の変形で12級5号、左肩関節の運動制限で10級10号と認定され、併合して9級の認定となりました。

この症例には、救命の観点から陽圧人口呼吸管理によるフレイルチェストの治療が優先されました。そのことで左肩関節の可動域に2分の1以上の運動制限を残したことは、やむを得ないことだと思われます。

この被害者は、軽度な呼吸機能の低下を訴えていましたが、認定基準に達するものではなかったため、呼吸機能低下に関しての立証は断念で終了となってます。

親切丁寧にご対応致します。お気軽にご相談下さい。

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