1 事故発生

30代の女性(専業主婦)が、信号待ちで停止中に追突される自動車事故により、腰部打撲傷、背部打撲傷、頚椎捻挫の傷害を負いました。

2 相談・依頼のきっかけ

「家事や育児に支障がある部分については、どのように補償されるのか知りたい」、「きちんとした補償を受けたい」とのことで、相談・依頼されました。

3 当事務所の活動

当事務所の弁護士から、示談交渉では、保険会社から損害賠償額の妥協を迫られることがよくある実態を説明し、依頼者の意向を踏まえて、適正な金額の賠償を得るため、裁判での解決を図ることとしました。

4 当事務所が関与した結果

裁判の中で、保険会社側の弁護士は、事故車両の衝突箇所の形状(凹みの大きさ)からすれば、本件事故による衝撃は小さかったはずであるとして、保険会社の顧問医が作成した意見書を提出しつつ、「本件事故による傷害は早期に治ゆしている。本件事故による後遺障害はない。」などと主張してきました。

当事務所の弁護士は、①本件事故による衝撃が大きかったことは、事故車両の修理内容が車両の骨格部分にまで及んでいることから裏付けられていることや、②カルテの記載内容によると、事故直後から一貫して痛みを訴え、治療を継続していることなどを主張しました。
そして、こちらからも、医師が作成した意見書を提出して、治療に必要な通院期間を経て症状固定となり、依頼者に残存した症状が、間違いなく本件事故による後遺障害であることを主張しました。

その結果、こちらが主張する通院期間、および本件事故による後遺障害であることが認められた内容で、既払金を除いて、合計410万円の獲得による裁判上の和解を勝ち取りました。

項目 保険会社の提示 当事務所介入後の結果
休業損害 11万円 47万円
傷害慰謝料 28万円 133万円
逸失利益 なし 76万円
後遺障害慰謝料 なし 110万円

【獲得額に関するご注意】
解決事例のご紹介においては、獲得額(獲得合計額)を記載させていただいておりますが、保険会社から医療機関に対して直接支払われる治療費等を含めない金額となっております。
他の事務所のサイトでは、こうした治療費等についても獲得額に含めて、金額を大きく見せている例が散見されます。
しかし、こうした治療費等はお客様の手元に残るものではなく、サイトを閲覧する方に誤解を与えかねないという点で、不適切な表記であると考えております。
そこで、当事務所では、お客様の手元に支払われる金額を獲得額として記載させていただいております。

5 解決のポイント(所感)

裁判では、保険会社側の弁護士から、被害者の症状(後遺障害)を否定するために、保険会社の顧問医が作成した意見書が提出されることがあります。
このような意見書自体の問題(証拠としての価値を認めるべきではないということ)はあるとしても、出された意見書の内容に対しては、カルテの内容を精査して検討したり、こちらの主張を裏付ける医師作成の意見書を提出するなどして、徹底的に反論することが必要です。

依頼者が受けた苦痛に対して、きちんと補償がされるように、裁判においては、隙のない主張と証拠の提出が必要です。
本件では、カルテの内容を踏まえた主張や、こちらからも医師作成の意見書を提出するなどして、徹底的に反論した結果、被害者の症状(後遺障害)が本件事故によるものであることが認められた形での和解を勝ち取ることができました。