104-1
上のイラストにおいて、緑色で書かれている「交感神経節」という部分が損傷すると、バレ・リュー症候群を発症します。

頚部の交感神経を損傷することで発生するバレ・リュー症候群とは、不眠が続き、頭痛が起きるというのが代表的な症状です。重症の場合だと、不眠と頭痛以外にも、肩こり、腰痛が起きたり、四肢の冷感、倦怠感や疲労感、脱力感、さらにめまいや耳鳴り、難聴、眼精疲労、熱感、流涙、視力調節障害、背痛、頭重感、動悸、息切れ、食欲不振、胃重感、吐き気、腹痛、下痢、便秘といったような不定愁訴が一気にまとめて襲ってくるということがあります。深酒をしていないのに、ひどい二日酔いに襲われるような症状です。

ただし、上記に挙げたようなバレ・リュー症候群の諸症状は、麻酔科やペインクリニックといった病院に通院して、交感神経ブロック療法を続ければ、大半の場合では2か月ほどで改善が見られます。

頭部外傷が原因の頭痛は後遺障害の対象になりますが、バレ・リュー症候群が原因の頭痛は後遺障害の対象にはならないのです。

後遺障害認定のポイント

① バレ・リュー症候群と診断された場合は後遺障害の対象にはなりません

交感神経損傷からきている様々な不定愁訴の症状が出ている被害者は、整形外科に加えてペインクリニックなどに通院し、交感神経ブロック療法を用いて治療を行っていきます。

② 耳鳴りの症状は、条件がそろった場合は12級相当が認められています

耳鼻科においてのオージオグラム検査で30デシベル以上の難聴が認められ、ピッチマッチ、ラウドネスバランスの耳鳴り検査において、耳鳴りが起こっていると他覚的に立証されれば12級相当と認定されます。しかし、バレ・リュー症候群においても耳鳴りの症状がみられることはありますが、難聴を伴うことは少ないとされています。

万が一耳鳴りがしている場合は事故直後からすぐに訴えておきましょう。これは通院治療をしている先が整形外科でも同様で、早めに耳鼻科を受診して、オージオグラム検査を受けてください。症状を訴えず、耳鼻科も受診せずに2か月、3か月を経過すると、事故が原因とは認められなくなるためです。
104-2
③ 排尿障害や嗅覚の脱失について

事故によって発症した主な傷病名、中心となる傷病が頚椎捻挫(頚部挫傷・外傷性頚部症候群)であったとしても、排尿障害の症状がみられる場合、尿管カテーテルを用いて強制導尿を余儀なくされているという被害者に対して11級10号、嗅覚が脱失したという被害者には12級相当が認定されたというケースがあります。

前者のケースでは、ウロダイナミクス検査で尿道括約筋の異常を立証し、後者のケースでは、T&Tオルファクトメータで嗅覚が脱失していると立証することで後遺障害等級の認定が可能となります。

事故の直後から症状があると訴えており、症状固定まで続いている場合は、原因が不明でも自覚症状が各検査によって立証されれば、自賠責の調査事務所は等級を認定しています。