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後縦靱帯骨化         黄色靱帯骨化

椎体の背中側で脊髄の前側には、後縦靭帯が縦に走っており、椎弓の前側で脊髄の背中側には黄色靭帯が同じく縦に走っています。これらの靱帯で椎体骨は支えられています。後縦靱帯骨化症とは、脊髄の前方に位置する後縦靱帯が厚くなり、骨化した結果、脊髄の走行している脊柱管が狭くなり、脊髄や脊髄から分枝する神経根が圧迫されて知覚障害や運動障害などの神経障害を発症する疾患(病気)です。交通事故では後縦靱帯が骨化することはありません。後縦靭帯骨化症は頚椎に多く、黄色靭帯骨化症は胸椎に多い疾患です。

後縦靱帯骨化症(OPLL)における後遺障害のポイント

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中央部の縦に白い線が骨化巣です。



(1) OPLLでも、ほとんどの被害者は、「事故前に症状がなく、通常の日常・社会生活であったが、事故直後から脊髄症状が出現、就労不能となり、手術に至った」と事故後の症状経過について説明しています。保険会社は事故との因果関係を否定し、元々の疾患(病気)と主張してきます。

被害者として、保険会社の対応に納得ができないのは分かりますが、XP、CTで後縦靱帯の骨化巣が確認されたときは、元々の疾患であるということを否定することはできません。この場合かなりの素因減額は免れません。請求できるものは、外傷性頚部症候群としての平均的な損害賠償であり、6か月間の治療費、慰謝料、3か月程度の休業損害、通院交通費に過ぎません。事故発生状況によっては、14級9号の後遺障害が認定される場合もありますが、それ以上はありません。入院・手術の治療費、入院雑費、この間の休業損害は否定される傾向が強いです。

(2) 厚生労働省は、後縦靱帯骨化症を公費対象の難病と指定しています。以下の条件を満たせば、治療費は国庫負担されます。

①画像所見で後縦靱帯骨化または黄色靱帯骨化が証明され、それが神経障害の原因となって、日常生活上支障となる著しい運動機能障害を伴うもの。

②運動機能障害は、日本整形外科学会頚部脊椎症性脊髄症治療成績判定基準の上肢運動機能Ⅰと下肢運動機能Ⅱで評価・認定されており、頸髄症では、上肢運動機能Ⅰ、下肢運動機能Ⅱのいずれかが2以下、ただしⅠ、Ⅱの合計点が7でも手術治療を行うときは認められています。胸髄症・腰髄症では、下肢運動機能Ⅱの評価項目が2以下、ただし、3でも手術治療を行うときは認められています。

上肢運動機能Ⅰ
箸またはスプーンのいずれを用いても自力では食事をすることができない
スプーンを用いて自力で食事ができるが、箸ではできない
不自由ではあるが、箸を用いて食事ができる
箸を用いて日常食事をしているが、ぎこちない
正常

※利き手でない側については、紐結び、ボタン掛けなどを参考とする。
※スプーンは市販品であり、固定用バンド、特殊なグリップなどを使用しない。

下肢運動機能Ⅱ
歩行できない
平地でも杖または支持を必要とする
平地では杖又は支持を必要としないが、階段ではこれらを要する
平地・階段ともに杖又は支持を必要としないが、ぎこちない
正常

※平地とは、室内または、よく舗装された平坦な道路。
※支持とは、人による介助、手すり、つかまり歩行の支え。

症状の程度が上記の重症度分類等で一定以上に該当しない場合でも、高額な医療を継続することが必要なときは、医療費助成の対象とされます。