201-1

意識障害を伴う頭部外傷においては、高次脳機能障害など重度の後遺障害を残す可能性があります。ここで、頭部、脳の構造、役割について基礎的なことを記載していきます。

(1) 頭蓋骨

頭蓋骨は、脳を保護している脳頭蓋と、顔面を形成している顔面頭蓋で構成されています。脳頭蓋は、さらに脳蓋冠と頭蓋底とに分かれます。脳は、頭蓋骨という固い容器のような役割を持つ骨に収納されているという構造になっています。頭蓋骨の外側は頭蓋外と呼び、頭部軟部組織がおおっています。反対に、頭蓋骨の内側を頭蓋内と呼び、髄膜によって脳が包まれた状態で存在しています。頭部外傷においては、脳に対して影響を及ぼす、頭蓋内の損傷の有無がポイントとなります。

(2) 髄膜

頭蓋骨の内側、脳を包んでいる膜を髄膜といいます。髄膜は3層になっており、外側から順に硬膜、くも膜、軟膜と呼びます。

201-2

①硬膜  
硬膜は、頭蓋骨の内面に張り付いている、ラバー状の丈夫でしっかりとした膜です。硬膜は、大脳鎌という左右の大脳の間に、くびれ込んでいます。また、大脳と小脳の間には、小脳テントを形成しています。

②くも膜  
くも膜は、硬膜と軟膜の間にある透明な膜で、ピンセットでつまむと破れるほどの薄く弱い膜です。軟膜との間には、くも膜下腔という繊維性のネットがあり、脳脊髄液で満たされています。このスペースで出血を起こしたものを、くも膜下出血と呼びます。

③軟膜
軟膜は、脳に張り付いている透明な膜です。脳の表面そのものであるため、はがすことは出来ません。くも膜よりも内側を、無色透明の脳脊髄液が満たしています。

④脳脊髄液
脳と脊髄は、脳脊髄液という液体の中に浮かんでいます。くも膜よりも内側に満たされており、外からの衝撃の吸収、脳と脊髄の新陳代謝の調節などの役割を果たしています。

201-3

(3) 脳
201-4
脳は大脳、中脳、小脳、脳幹という4つで出来ています。中脳は間脳と呼ぶこともあります。大脳は前頭葉と側頭葉、頭頂葉、後頭葉に分けられて、それぞれが異なる機能、役割を持っています。

201-5
部位 役割
前頭葉 行動の開始、計画、抑制、問題の解決、判断、自己の客観化、情緒、注意・組織化、言語表出
側頭葉 記憶、聴覚、嗅覚、言語理解
頭頂葉 触覚、空間視覚の認知
後頭葉 視覚
脳幹 呼吸、心拍、意識・覚醒、睡眠
小脳 バランス、運動調節、姿勢
2001-6