肩関節

肩関節は肩甲骨の浅めのソケットのような形状に上腕骨がぶら下がっているという、とても不安定で頼りなさげな構造になっています。骨同士の連結もありませんので、脱臼しやすくなっていますが、その分非常に大きな可動域を持っています。

10代、20代の若年者の方の外傷性肩関節脱臼は、反復性に注意しておきましょう。一般的な脱臼のほとんどは徒手的に整復(手を使って脱臼や骨折の整復を行う手技的な療法)していきますが、若年者の場合だとこれを繰り返すようになってしまう、反復性に変化する確率が高いとされているのです。

肩関節は肩甲骨の面に吸盤の役割を持つ2つの関節唇という軟骨があり、関節唇には靭帯と関節の袋となる関節包がくっつきます。これが上腕骨頭に覆いかぶさって安定を保っています。脱臼した時には関節唇が肩甲骨の面からはがれますが、これが再びしっかりとくっついて治癒しなければ、脱臼するような力が加われば簡単に脱臼し、何度も繰り返すようになるということです。極端なケースですが背伸びの動作だけで肩関節が外れることもあります。

後遺障害認定のポイント

関節鏡術(細い管の先にライトとレンズをつけ、関節の中をのぞきながら行う手術のこと)を先に行うか、症状固定を優先するかという点があります。この点、反復性肩関節脱臼が認められれば、12級6号となります。よって、症状固定を優先した方が良いと考えています。

近年の整形外科の肩関節外来においては、関節鏡術は著しく発展しており、反復性肩関節脱臼にも安定した成績を上げています。モニターを見ながら関節の中をじっくりと観察し、はがれた関節唇を肩甲骨の元の位置に縫い付けます。5mmから7mmの切開を3か所しますが傷跡もほとんど残らず、術後の入院も2、3泊程度となっています。術後感染のリスクも非常に低いです。

以上のことから、まずは症状固定から始めて後遺障害等級を確定させ、弁護士による損害賠償が全て終了してから、健康保険を用いて治療していくのがベストな選択だと思われます。

関節鏡術などで治してからの場合だと後遺障害は全否定されてしまいます。