自動車の横転や転落事故、バイク、自転車の転倒で、尻もちをついた際に発症することが多いです。つまり、脊椎を構成する椎体に縦方向の圧力がかかると、上下に押し潰されて圧迫骨折するのです。よく発症する部位は、第11胸椎(Th11)~第2腰椎(L2)です。XPの側面像では、脊椎の椎体前方、腹側が、楔状に変形しているのが確認できます。

脊柱1

骨粗鬆症が進行している高齢者の場合、比較的軽い追突事故であっても圧迫骨折を発症することがあります。その場合、胸椎や胸椎と腰椎の移行部で圧迫骨折を発症するようです。

では、圧迫骨折をすると、骨折をした骨の形は、元に戻らないのでしょうか。この点、骨を構成する組織は、毎日、吸収(破壊)されては、新しく作られています。圧迫骨折でも、若年者であれば、時間の経過で仮骨が形成され、骨の形状がやや戻ることがあります。

骨粗鬆症は、新陳代謝のバランスが崩れ、吸収(破壊)される骨が、新しく作られる骨よりも多くなってしまう疾患のことで、骨密度が減少し、骨が脆くなります。

治療は、骨折した部分の症状が安定していれば、入院してギプスやコルセットで固定し仮骨が形成されるのを待ちます。骨折した部分が不安定なときは、手術をおこないます。上肢や下肢に麻痺が残ったときは、装具の装用や、リハビリ治療で改善を目指します。

高齢者に起こる圧迫骨折では、治療は短期間のベッド上の安静で骨がくっつくのを待ちます。痛みが出る場合は、コルセッ卜やギプスを巻いて和らげます。椎体の骨折の程度が大きく、骨片が椎体の後方の脊髄や神経根を圧迫し、下肢の感覚がない、力が入らない場合は、手術により圧迫された神経を解放します。骨粗鬆症の進行が高い場合、数か月を経過しても骨癒合が得られないことがあります。症状が緩和しないときは、人工骨や骨セメントを骨折部へ注入する治療が行われています。

脊柱2
①             ②             ③

①骨折部分にバルーンを挿入する→②バルーンを膨らませ骨折部を持ち上げる→③骨セメントを充填

脊柱の圧迫骨折の後遺障害のポイント

(1) 圧迫骨折を脊柱の変形と捉えると、等級は次のとおりです。

脊柱の障害(変形障害)
6級5号 脊柱に著しい変形を残すもの。
8級2号 脊柱に中程度の変形を残すもの。
11級7号 脊柱に変形を残すもの。

脊柱の変形障害は、①脊柱に著しい変形を残すもの、②脊柱に中程度の変形を残すもの、③脊柱に変形を残すものの三段階で等級が認定されています。

最も症例の多い「脊柱に変形を残すもの」とは、次のいずれかに該当するものを指します。
□脊椎圧迫骨折等が残っていることが、XP画像等で確認できるもの
□脊椎固定術がおこなわれたもの
□3椎以上の脊椎について、椎弓切除術等の椎弓形成術を受けたもの

むちうちでも頚腰部の可動域制限を訴える被害者がいますが、脊柱の変形や運動障害で後遺障害等級が認められるためには、脊柱の圧迫骨折や破裂骨折、または、脊椎の固定術がおこなわれていなければなりません。

(2) 新鮮骨折と陳旧性骨折
後期障害等級を判断する上で、自賠責調査事務所は、新鮮骨折なのか陳旧性骨折なのかに注目しています。骨粗鬆症の高齢者では、少しつまづいただけでも脆弱性の圧迫骨折を発症することがあります。そのことから、この骨折がいつ発症したものなのかを重要視しているのです。陳旧性と判断された場合は、等級には該当しません。

第11胸椎圧迫骨折
脊柱3 脊柱4
T1強調画像           T2強調画像

日にちが浅い圧迫骨折のMRIでは、椎体は出血により他の椎体と違う濃度で見られます。もともとあった陳旧性骨折か、新鮮骨折かの判断は、受傷直後のMRIを確認することで判断できるのです。

上の画像は、62歳女性の第11胸椎圧迫骨折のMRI画像です。この場合の骨折は新鮮骨折です。左のT1強調画像では損傷部が黒く、右のT2強調画像では損傷部が白く表されています。このことを、「T1強調において低輝度」「T2強調において高輝度」がみられると専門的には解説されます。圧迫骨折が新鮮骨折なのか、陳旧性骨折なのかは、受傷直後のMRIによって証明することが可能なのです。

また、その画像の信憑性を高めるためには、1か月以上期間をおいて撮影された、XP画像を比較することでも有効です。変形進行、骨折線の不鮮明化、仮骨形成、骨硬化、骨萎縮などの経時的変化が見られるようであれば、損傷部が新鮮骨折だったと判断してよいわけです。