1 事故発生

80代の女性が、交差点で横断歩道を歩行中に自動車にはねられる事故に遭い、亡くなられました。

2 相談・依頼のきっかけ

ご遺族の方は、「保険会社から、2通りの賠償額を提示されて(自賠責基準で1792万円、任意保険基準で1764万円)、金額が大きい方での示談をもちかけられたが、金額が妥当なのか聞きたい」、「調べたところ、裁判基準があると知ったので、具体的に聞きたい」とのことで当事務所にご相談に来られました。
当事務所の弁護士が裁判基準の賠償額について、自賠責基準や任意保険基準との違いを明らかにしながら具体的な内容の説明をしたところ、「裁判基準による適正な賠償を受けたい」とのことで依頼されました。

3 当事務所の活動

当事務所の弁護士は、裁判基準での賠償額を獲得するためには、訴訟提起が必要と判断しました。
そして、ご遺族の方も訴訟による解決の方針に同意されたため、速やかに訴訟提起を行いました。

4 当事務所が関与した結果

裁判での主な争点は、死亡慰謝料の金額と、逸失利益のうちのパート収入の分でした。
死亡慰謝料については、ご遺族の方にご協力いただき、亡くなられた方の生活歴や生前のご様子を踏まえた無念の思い、ご遺族の悲痛な思いを記載した、詳細な内容の陳述書を提出しました。
逸失利益のうちのパート収入の分については、亡くなられた方は、個人事業主の手伝いにより現金手渡しで手間賃を受け取っていましたが、給与明細や賃金台帳などが存在せず、客観的な資料が存在しませんでした。
そこで、当事務所の弁護士は、雇い主の協力を得て、手間賃を支給していたことの記載がある雇い主の確定申告書や、手間賃を支給していたことを内容とする雇い主の陳述書を提出することで、立証を行いました。

その結果、裁判所から、死亡慰謝料2300万円(裁判基準の上限である2000万円を超える金額)、逸失利益250万円(年金分163万円+パート収入分87万円)に、調整金148万円などを付加し、合計2850万円を支払額とする和解案が示されました。
そして、当事務所の弁護士および保険会社の弁護士が、裁判所和解案に応じるとの回答をしたため、保険会社提示額から1058万円の増額の合計2850万円による和解に至りました。

主な損害項目 保険会社の提示
(自賠責基準)
保険会社の提示
(任意保険基準)
当事務所介入後の結果
死亡慰謝料 1100万円 1500万円 2300万円
逸失利益 592万円 163万円 250万円
葬儀費用 100万円 100万円 150万円
調整金 148万円

【獲得額に関するご注意】
解決事例のご紹介においては、獲得額(獲得合計額)を記載させていただいておりますが、保険会社から医療機関に対して直接支払われる治療費等を含めない金額となっております。
他の事務所のサイトでは、こうした治療費等についても獲得額に含めて、金額を大きく見せている例が散見されます。
しかし、こうした治療費等はお客様の手元に残るものではなく、サイトを閲覧する方に誤解を与えかねないという点で、不適切な表記であると考えております。
そこで、当事務所では、お客様の手元に支払われる金額を獲得金額として記載させていただいております。

5 解決のポイント(所感)

本件で、保険会社は、ご遺族の方に対し、自賠責基準と任意保険基準の2通りの賠償額を示し、金額が大きい方での示談をもちかけていました。
金額が大きい方での示談をもちかけるという、一見すると誠実な交渉態度にも見えますが、適正な賠償額は、あくまで裁判基準による賠償額です。
本件では、当事務所の弁護士による対応の結果、裁判基準での適正な損害賠償を勝ち取るという解決を図ることができ、ご遺族の方からご満足のお声をいただくことができました。

当事務所では、適正な賠償額の獲得において一切の妥協はしません。
本件でも、逸失利益のパート収入分についての客観的資料が乏しかったものの、証拠収集に努めたことで、パート収入の分も含めた逸失利益の賠償額を獲得することができました。

6 お客様の声

当方の要求をほぼ満額認めていただきました。
和解という形で解決できたのも先生のおかげと思います。
ありがとうございました。

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