1 事故発生

30代の男性が、歩道・車道の区別のない道路の左端を歩行中、後方から走行してきた自動車に衝突され、脳挫傷、下顎骨開放性骨折等の傷害を負いました。

2 相談・依頼のきっかけ

事故から5か月ほどして退院した後、リハビリ開始1か月目の段階で相談に来られ、「職場復帰に向けてリハビリをしているが、職場復帰もいつできるかわからない状況で、もし、働けなくなってしまった場合は、どうすればいいのか。」、「補償のこともよくわからないので、今から対応をお願いしたい。」とのことで、ご依頼となりました。

3 当事務所の活動

当事務所の弁護士は、リハビリの推移を見守りながら、定期的にカルテを取り付けるなどして、高次脳機能障害の立証に必要な検査がされているかの確認を行いました。
その上で、必要な検査が行われていない場合には、その検査の実施をお願いするなどして、サポートしていきました。
また、嗅覚や聴覚の異常を訴えていたため、必要な検査や治療を受けるようアドバイスをしていきました。
そして、事故から2年4か月ほどで症状固定に至ると、当事務所の弁護士は、依頼者に代わって必要書類・立証資料を揃えた上で、後遺障害等級認定申請(被害者請求)を行いました。
その結果、高次脳機能障害で3級3号、外貌の傷痕で12級14号、併合して2級の認定となり、この時点で自賠責保険金2443万円を確保しました。
そして、依頼者のご希望にしたがって、適正な金額の賠償を得るべく、裁判を申し立てました。

4 当事務所が関与した結果

裁判では、慰謝料、後遺障害逸失利益などの損害額が争われました。
後遺障害逸失利益については、当事務所の弁護士が昇給の可能性を考慮した基礎収入額で算定したのに対して、保険会社の弁護士は、事故前年の基礎収入額にすべきであるなどと反論してきました。
そして、一定の主張と立証をした段階で、裁判所より、合計7100万円での和解案が示されました。
和解案で認定された損害項目では、本人慰謝料は裁判基準によって算定され、後遺障害逸失利益は、昇給の可能性を考慮した基礎収入額で算定されていました。
もっとも、配偶者の慰謝料は200万円とされて、請求金額よりも大幅な減額がされていました。
また、弁護士費用や遅延損害金等を考慮した調整金は161万円とされるなど、依頼者にとって判決が出される場合と比べて不利な内容でした。
そのため、依頼者のご家族と当事務所の弁護士とで協議のうえ、判決を求めることを前提に、判決見込み額と遜色のない和解額をこちらから提示することとしました。
そして、当事務所の弁護士は、裁判所の和解案に対して、判決見込み額と遜色のない和解額として合計7800万円の和解金であれば応じられる、そうでなければ判決を求める、と返答しました。
そうしたところ、保険会社の弁護士が合計7800万円の和解額に応じて、和解成立となりました(7800万円のうち、主な損害項目は、下記の表のとおりとなります)。
受領済みの自賠責保険金2443万円と合わせると、合計1億0243万円の獲得でした。

主な損害項目 金額
休業損害 579万円
傷害慰謝料 330万円
後遺障害逸失利益 5631万円
後遺障害慰謝料 2370万円
確定遅延損害金 1047万円
近親者慰謝料 500万円
調整金 561万円

※上記の金額は、いずれも裁判基準で認定されています。
※上記各金額を合計すると獲得額1億0243万円を超えますが、保険会社が治療中に負担した休業損害や慰謝料の内払いなどの既払い額がありますので、金額に矛盾はありません。
【獲得額に関するご注意】
解決事例のご紹介においては、獲得額(獲得合計額)を記載させていただいておりますが、保険会社から医療機関に対して直接支払われる治療費等を含めない金額となっております。
他の事務所のサイトでは、こうした治療費等についても獲得額に含めて、金額を大きく見せている例が散見されます。
しかし、こうした治療費等はお客様の手元に残るものではなく、サイトを閲覧する方に誤解を与えかねないという点で、不適切な表記であると考えております。
そこで、当事務所では、お客様の手元に支払われる金額を獲得額として記載させていただいております。

5 解決のポイント(所感)

最初にご相談いただいた時点から最終的な解決まで、4年半をサポートさせていただきました。
リハビリ初期の段階から、必要な検査が行われているかの確認や、必要な検査が行われていない場合には、その検査の実施をお願いするなどしてサポートし、適正な後遺障害認定の獲得に努めました。
また、損害賠償請求の段階では、事故による多大な損害と将来の生活に対する適正な補償を獲得するため、粘り強く対応し、長い道のりを共に進んできました。
本人とご家族のご満足がいただける結果が得られたことが何よりです。

6 お客様の声

夫が事故にあい、何から手をつけて良いのか慰謝料はどれくらいもらえるのか不安でしたが、最初から最後まで親切に対応していただきました。
結果にも大変満足です。
ありがとうございました。

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