1 事故発生

60代の男性が、信号機がある丁字路交差点の横断歩道の近くを横断中に、自動車にはねられる交通事故に遭い、亡くなられました。

2 相談・依頼のきっかけ

ご遺族の方は、「事故の相手方が保険は使わないと言っているが、こちらは何をしなければならないのか分からない。」とのことで相談に来られました。
当事務所の弁護士が、損害賠償手続の流れや、過失割合、裁判基準の賠償額について具体的な内容の説明をしたところ、「損害賠償手続を全てお願いしたい。」とのことでご依頼いただきました。

3 当事務所の活動

本件では、事故状況によっては、亡くなられた被害者の方の過失割合が大きいと考えられ、その場合には、損害賠償手続としては自賠責保険への請求のみで終わることも考えられました。
そのため、当事務所の弁護士は、まずは刑事事件記録を取り付けて、事故状況の詳細を確認することから始めました。
刑事事件記録で事故状況の詳細を確認したところ、夜間に、被害者の方が横断歩道の近くを横断中に(横断歩道の歩行者信号は赤色で、幹線道路を横断)、青色信号で交差点を通過した加害者の自動車に衝突されたという事故状況であることが判明しました。
この事故状況を踏まえると、被害者の方の過失は大きいと考えられました。
そこで、当事務所の弁護士は、ご遺族の方と相談の上、被害者の過失割合が7割未満の場合には減額されないこととなっている、自賠責保険の被害者請求の手続を先行させることとしました。

4 当事務所が関与した結果

当事務所の弁護士が、依頼者に代わって必要書類・立証資料を揃えた上で、被害者請求の手続を行った結果、自賠責保険金3000万円を確保しました。
その上で、あらためて裁判基準による損害賠償額を計算し、過失割合による減額、自賠責保険金の既払金を控除して算定したところ、加害者への請求分はないことが見込まれました。
もっとも、相手方の保険会社へ照会した結果、相手方が加入する自動車保険には対歩行者等事故傷害補償保険特約が付けられており、この特約では、損害賠償額は任意保険基準で算定されるものの、被害者の過失による過失相殺をせずに支払いをする内容となっていることが判明しました。
そこで、この特約に基づいて保険会社へ請求をしたところ、合計500万円が支払われることとなりました。
受領済みの自賠責保険金3000万円と合わせると、合計3500万円の獲得となりました。

【獲得額に関するご注意】
解決事例のご紹介においては、獲得額(獲得合計額)を記載させていただいておりますが、保険会社から医療機関に対して直接支払われる治療費等を含めない金額となっております。
他の事務所のサイトでは、こうした治療費等についても獲得額に含めて、金額を大きく見せている例が散見されます。
しかし、こうした治療費等はお客様の手元に残るものではなく、サイトを閲覧する方に誤解を与えかねないという点で、不適切な表記であると考えております。
そこで、当事務所では、お客様の手元に支払われる金額を獲得金額として記載させていただいております。

5 解決のポイント(所感)

本件では、事故調査、保険会社への照会結果を踏まえた当事務所の弁護士による活動の結果、被害者の方の過失が大きかったものの、ご遺族の方にご納得いただける賠償金を得るという解決を図ることができました。