1 仮渡金とは?

自賠責保険の仮渡金とは、賠償額が確定する前に、当面の支出にあてるために、加害者の自賠責保険会社に請求することができるお金です。

 

 

1 仮渡金とは?

自賠責保険の仮渡金とは、賠償額が確定する前に、当面の支出にあてるために、加害者の自賠責保険会社に請求することができるお金です。

2 どのような場合に利用するか?

通常、事故発生から示談成立、賠償金の受け取りまでには、数か月かそれ以上かかります。
示談が成立せず、訴訟による解決を図る場合には、事故発生から1年以上かかることも少なくありません。

加害者が任意保険に加入していれば、治療費や休業補償を加害者の任意保険会社が支払ってくれます。
しかし、自分の過失が大きく任意保険会社が対応していない場合や、加害者が任意保険に加入していない場合には、被害者において一時的に治療費を立て替えたり、収入がない状態で生活したりする必要があります。

このように、当面の支出にあてるためにお金が必要となる場合に、自賠責保険の仮渡金制度を使うことが考えられます。
なお、仮渡金は、申請から1週間程度で受け取ることが可能です。

3 仮渡金の金額

仮渡金の金額は以下のとおりです。

被害者の状況 仮渡金の金額
①死亡した場合 290万円
②以下の傷害を負った場合
・脊柱の骨折で脊髄を損傷したと認められる症状を有するもの
・上腕又は前腕の骨折で合併症を有するもの
・大腿又は下腿の骨折
・内臓の破裂で腹膜炎を併発したもの
・14日以上病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの
40万円
③以下の傷害を負った場合(②を除く)
・脊柱の骨折
・上腕又は前腕の骨折
・内臓の破裂
・病院に入院することを要する傷害で、医師の治療を要する期間が30日以上のもの
・14日以上病院に入院することを要する傷害
20万円
④11日以上の医師の治療を要する傷害を負った場合(②③を除く) 5万円

4 利用するための手続

仮渡金の支払い請求は、加害者の自賠責保険に対して行います。
まずは、加害者の自賠責保険に連絡し、請求用の必要書類を取り寄せましょう。

通常、以下の書類が必要となります。
・支払請求書(保険金・損害賠償額・仮渡金)
・交通事故証明書
・事故発生状況報告書
・請求者本人の印鑑登録証明書
・医師による診断書
・(死亡事故の場合)死亡診断書、戸籍謄本
・(代理人が請求する場合)委任状
・仮渡金支払に関する念書

必要書類が揃ったら、加害者の自賠責保険に提出し、支払いを待つことになります。

5 仮渡金の注意点

(1)1度だけ請求可能

自賠責保険の仮渡金は、1回限りの請求が可能です。
手持ちのお金が足りなくなったからといって、何度も請求できるわけではありません。

(2)最終的に受け取れる金額から差し引かれる

自賠責保険の仮渡金は、前払い・内払いの性格を有します。
そのため、最終的な賠償金受け取りの際に、既払い金として控除されます。
損害額が合計70万円であり、すでに仮渡金として20万円を受け取っている場合には、70万円-20万円=50万円を最終的に受け取ることができます。

(3)最終的な金額が決まった際に仮渡金の方が多ければ返還義務がある

最終的に、損害額が合計35万円と算出されたとしましょう。
仮渡金として40万円を受け取っていた場合には、40万円-35万円=5万円を自賠責保険に返還する必要があります。

要は多く受け取り過ぎた部分については、返還する必要があるということです。

(4)傷害の部分について、治療費や休業損害ですでに120万円以上支払われている場合には利用できない

自賠責保険では、傷害に対する保証の上限額は、被害者1人あたり120万円と定められています。
その関係上、すでに治療費や休業損害などで120万円以上支払われている場合には、仮渡金の制度を利用することができません。

(5)仮渡金を利用すると保険会社が治療費の支払など任意一括対応を拒否してくることが多い

任意一括対応とは、加害者側の任意保険会社が、被害者の治療費を直接病院に支払ったり、自賠責保険金の請求と一本化したりして、損害賠償金の支払い対応をまとめて行うサービスです。

仮渡金の請求を行うことで、保険会社が一括対応を拒否し、仮渡金で賄うようにと申し向けてくることもあります。
よって、加害者が任意保険に加入している場合には、使える場面は少ないと考えられます。