死亡事故における逸失利益とは、交通事故の被害者が事故に遭ってしまったために得られなくなった、将来得られたであろう収入の推計です。

例えば45歳の男性サラリーマンの場合、67歳までの残り22年間で得られたであろう収入の推計が逸失利益となります。

死亡事故による逸失利益の計算方法は、次の通りです。

逸失利益 = 年収 × (1-生活控除率) × (就労可能年数に対するライプニッツ係数)

①死亡事故における逸失利益算定のベースとなる年収は、職業によって異なります。

1.給与所得者

原則として、事故前の現実の収入額を基礎として算出します。
現実の収入が平均賃金以下の場合、平均賃金が得られる可能性があれば、それを認めます。

若年労働者(おおむね30歳未満)の場合には、学生との均衡の点もあり、全年齢の平均賃金を用いるのを原則とします。

2.事業所得者

自営業者、自由業者、農林水産業者などについては、申告所得を参考にするが、同申告額と実収入額が異なる場合には、立証があれば実収入額を基礎とします。

所得が資本利得や家族の労働などの総体のうえで形成されている場合には、所得に対する本人の寄与部分の割合によって算定します。
実収入額が平均賃金以下の場合、平均賃金が得られる可能性があれば、男女別の平均賃金によります。

実収入額の証明が困難なときは、各種統計資料による場合もあります。

3.家事従事者

女子の全年齢の平均賃金を基礎とします。
有職の主婦の場合、実収入が上記平均賃金以上のときは実収入により、平均賃金より下回るときは平均賃金により算定します。
家事労働分の加算は認めないのが一般的です。

4.学生・幼児など

原則として、男子は男性の全年齢の平均賃金。
女子は全労働者の全年齢の平均賃金です。

5.失業者

労働能力および労働意欲があり、就労の可能性があるものは認められます。
再就職によって得られるであろう収入を基礎とすべきで、その場合特段の事情のない限り失業前の収入を参考とします。
ただし、失業以前の収入が平均賃金以下の場合には、平均賃金が得られる可能性があれば、平均賃金によります。

※いずれも、税金の控除はされないのが原則です。

年金受給者については、年金部分の逸失利益も算定されます。

②生活費の控除率

死亡により生活費がかからなくなったことによる控除。
・一家の支柱:被扶養者1人の場合・・・40%
被扶養者2人以上の場合・・・30%
・女子(主婦・独身・幼児を含む):30%
なお、女子年少者の逸失利益につき、全労働者の全年齢平均賃金を基礎収入とする場合には、その生活費控除率を40~45%とするものが多いです。
・男子(独身・幼児を含む):50%

年金部分についての生活費控除率は、上記よりも高くされる例が多いです。

③就労可能年数に対するライプニッツ係数

原則として、67歳までを就労可能年数としますが、会社役員・開業医・税理士などについては70~75歳までとされた裁判例もあります。
また、およそ55歳以上の高齢者(主婦を含む)については67歳までの年数と平均余命の2分の1のいずれか長期の方を使用します。

また、東京地裁・大阪地裁・名古屋地裁の平成11年11月の共同提言により、特段の事情がない限り年5%(改正前の法定利率)の割合で中間利息を控除するライプニッツ方式が採用されるようになりました。
そして、2020年4月1日施行の民法改正によって法定利率が年5%から3%に引き下げられたことにより、2020年4月1日以降の交通事故では、年3%の割合で中間利息を控除することとなります。

損害賠償金を一時払いで受け取ると利殖をして利息を得ることができるため不公平ではないかという問題がありましたが、現在ではライプニッツ係数を利用して利息の獲得の補正が行われるようになっています。

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