骨折による変形障害とは

交通事故の被害に遭って骨折をした場合、骨折部が変形した状態で骨が接合してしまったり、骨の癒合(折れた骨がくっつくこと)が途中で止まってしまったりして、骨折部が元の状態に戻らずに変形してしまうことがあります。これを変形障害と言います。骨折の治療では、通常、ギプスや添え木などで折れた骨を元の位置に固定し、骨が自然に回復し癒合するのを待つことになります。しかし、固定箇所が安定しなかったり、骨折部の動脈が切断されたために骨折部への血行が悪かったりすることなどを原因として、変形障害が生じることがあります。骨折による変形障害が認められる場合には、後遺障害等級が認定される可能性があります。

骨折による変形障害のケースでの等級認定

骨折による変形障害の場合の後遺障害等級は、その部位や程度に応じて異なります。

1 脊柱とその他の体幹骨の変形障害

脊柱(背骨)は、頭部から、7つの頚椎、12の胸椎、5つの腰椎と仙骨と尾骨の合計26の椎骨によって構成されています。そして、圧迫骨折などを原因として、脊柱に変形障害が生じた場合には、次のいずれかの後遺障害等級が認定される可能性があります。

等級 障害の内容・程度
6級5号 脊柱に著しい変形を残すもの
8級2号 脊柱に中程度の変形を残すもの
11級7号 脊柱に変形を残すもの

脊柱(背骨)の変形障害の場合には、その変形の程度によって、認定される等級が変わってきます。脊柱の変形の程度は、脊柱の後弯(脊柱が後ろに曲がること)又は側弯(脊柱が横に曲がること)の程度により判断されますが、その測定方法や判断基準となる数値が定められています。

脊柱以外の体幹骨(鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨、骨盤骨)に変形障害が生じた場合には、次の後遺障害等級が認定される可能性があります。

等級 障害の内容・程度
12級5号 鎖骨、胸骨、ろく骨、けんこう骨、骨盤骨に著しい変形を残すもの

※「著しい変形を残すもの」とは、裸体となったときに、変形(欠損を含みます)が明らかに分かる程度のものを言います。そのため、レントゲンによってのみ変形が確認できる程度に過ぎないものは、該当しません。

2 上肢の変形障害

上肢は、鎖骨から肩、上腕、肘、前腕、指先にかけての部位を指します。骨折により上肢に変形障害が生じた場合には、次のいずれかの後遺障害等級が認定される可能性があります。

等級 障害の内容・程度
7級9号 1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級8号 1上肢に偽関節を残すもの
12級8号 長管骨に変形を残すもの

※「偽関節」とは、骨折部の癒合が不完全であるため、本来関節ではない部分が関節であるかのように異常可動するものを言います。
※「1上肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは、①上腕骨の骨幹部(中央の長い部分)又は骨幹端部(骨幹部の端で骨端部に繋がる部分)に癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの、②橈骨及び尺骨の両方の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの、のうちいずれかに該当するものを言います。
※「1上肢に偽関節を残すもの」とは、①上腕骨の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするものではないもの、②橈骨及び尺骨の両方の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするものではないもの、③橈骨又は尺骨のいずれかの骨幹部又は、骨幹端部に癒合不全を残し、時々硬性補装具を必要とするもの、のうちいずれかに該当するものを言います。
※「長管骨」とは、四肢の長い棒状の骨のことを言います。上肢の場合、肩から肘にかけての上腕骨、肘から手首にかけての橈骨、尺骨を指します。
※「長管骨に変形を残すもの」とは、①上腕骨に変形を残し、15度以上屈曲して不正癒合したもの、②橈骨及び尺骨の両方(ただし、変形の程度が著しい場合には、そのうちの一方のみでも該当する)に変形を残し、15度以上屈曲して不正癒合したもの、③上腕骨、橈骨、尺骨の骨端部(骨の端の部分)に癒合不全を残すもの、④上腕骨、橈骨、尺骨の骨端部のほとんどを欠損したもの、⑤上腕骨の直径が3分の2以下に減少したもの、⑥橈骨、尺骨の直径が2分の1以下に減少したもの、⑦上腕骨が50度以上回旋変形癒合(骨がねじれた状態でくっつくこと)したもの、のうちいずれかに該当するものを言います。

3 下肢の変形障害

下肢は、股関節から、太もも、膝、脛(すね)、指先にかけての部位を指します。骨折により下肢に変形障害が生じた場合には、次のいずれかの後遺障害等級が認定される可能性があります。

等級 障害の内容・程度
7級10号 1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの
8級9号 1下肢に偽関節を残すもの
12級8号 長管骨に変形を残すもの

※「1下肢に偽関節を残し、著しい運動障害を残すもの」とは、①大腿骨の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの、②脛骨及び腓骨の両方の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの、③脛骨の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするもの、のいずれかに該当するものを言います。
※「1下肢に偽関節を残すもの」とは、①大腿骨の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするものではないもの、②脛骨及び腓骨の両方の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするものではないもの、③脛骨の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残し、常に硬性補装具を必要とするものではないもの、のいずれかに該当するものを言います。
※「長管骨」とは、四肢の長い棒状の骨のことを言います。下肢の場合、股から膝にかけての大腿骨、膝から足首にかけての脛骨や腓骨を指します。
※「長管骨に変形を残すもの」とは、①大腿骨又は脛骨に変形を残し、15度以上屈曲して不正癒合したもの(腓骨についても、変形の程度が著しい場合には該当する)、②大腿骨又は脛骨の骨端部に癒合不全を残すもの、③腓骨の骨幹部又は骨幹端部に癒合不全を残すもの、④大腿骨、脛骨、腓骨の骨端部のほとんどを欠損したもの、⑤大腿骨、脛骨の直径が3分の2以下に減少したもの、⑥大腿骨が外旋45度以上、内旋30度以上回旋変形癒合したもの、のうちいずれかに該当するものを言います。

骨折による変形障害のケースでの損害賠償請求

交通事故によって骨折をした場合には、治療期間が長期化することも多く、治療が終了しても様々な後遺障害が残存するケースも少なくありません。そのような後遺障害の一つが、変形障害です。骨折による変形障害が残った場合には、例えば、痛みなどの症状が続いたり、手先に力が十分に伝えられないなどの症状が現れたりすることもあり、仕事や日常生活への支障も非常に大きいものとなります。したがって、骨折による変形障害に苦しむ交通事故被害者の方には、適切かつ十分な賠償金を受け取っていただきたいと存じます。そのためには、まずは適正な後遺障害等級の認定を得ることが必要不可欠です。後遺障害に精通した弁護士にご相談のうえ、手続に臨まれることをお勧めいたします。

また、適正な後遺障害等級の認定を受けた場合であっても、加害者側の保険会社から、裁判基準に基づく適切かつ十分な賠償提示が出されることはまずありません。骨折による変形障害は日常生活や仕事に影響を及ぼすものではないなどとして、逸失利益(後遺障害が残った場合における将来の減収にかかる損害)を否定するような主張がなされること等も多くあります。加害者側の保険会社にしっかりと対抗し、裁判基準に基づく適切かつ十分な賠償金を確保するためには、弁護士が介入して示談交渉や訴訟を遂行し、賠償金請求の手続を進めていくことが必要と言えます。

交通事故による骨折被害でお悩みの方は、お早めに交通事故に精通した弁護士にご相談いただくことをお勧めいたします。八戸シティ法律事務所では、数多くの交通事故による骨折事案を解決に導いてきた豊富な実績がございます。是非お気軽に八戸シティ法律事務所にご相談いただければと存じます。

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