痛みの程度の伝え方

痛みの程度について、主治医から、次のように聞かれた場合、どう答えればよいでしょうか。

・今までで一番痛かった痛みを10、中くらいの痛みを5、痛み無しを0とした場合、あなたが今感じている痛みはいくつくらいですか?
・0=痛み無し、1=少し痛い、2=痛い、3=かなり痛い、4=耐えられないほど痛い、の中で、あなたの痛みはどれですか?
・自分の痛みを表す言葉として、無し、軽度、中等度、高度、極度、の5つのうち、どれが一番しっくりきますか?

主治医からなされるこのような質問は、ペインスケールと呼ばれるもので、治療の効果を確認し、症状がどれだけ改善されているかを確かめるためになされます。
このペインスケールには、NRS、VAS、VRS、フェイススケールなどがあります。
主治医によっては、診断書や後遺障害診断書に、このペインスケールの結果を記載していることもあります。

おそらく、事故に遭われた時から、痛みの強さが全く変わらないという方は、あまり多くはないでしょう。
そのため、主治医の質問に対して、初めは痛みのレベルを10と答えていた被害者の方でも、次に聞かれた時は8、通院してしばらくしてから聞かれた時は4と、少しずつ下げていくケースが多いと思われます。
そして、これを聞いた主治医が、診断書や後遺障害診断書に、「症状は軽減」とか、「緩解の見通し」といった記載をすることもあります。
後遺障害認定においては、このような「軽減」とか「緩解」といった記載をとらえられて、後遺障害には当たらないという判断をされてしまうことがあります。

症状が改善していないにもかかわらず、主治医に気を遣って、「良くなっている」と答えてしまう方もいるかもしれません。
また、主治医から「もう治っていてもおかしくない」などと言われて、そのように答えてしまう方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、症状が良くなっていないのであれば、適切な治療を受ける上でも、きちんと「症状は変わらない」と答えるべきでしょう。

これに対して、症状が改善しているのに、「良くなっていない」と答えれば嘘になってしまいます。
しかし、「良くなっている」と答えれば、症状が残存しているにもかかわらず、「軽減」、「緩解」といった記載がされて後遺障害が認定されないおそれがあります。
では、そのように答えればよいのでしょうか。

ここで、主治医から痛みについて質問されるタイミングが、電気治療、温熱治療やマッサージを受けたり、ブロック注射を受けたりと、治療をした直後であることが、「だいぶ良くなっている」という答えにつながっている場合があり得ます。
このような場合、病院に行く前の状態を考えれば、基本的には「症状は変わっていない」と答えるのが正しいことも多いのではないでしょうか。
「良くなっている」と答えるときには、このことを思い出してみてください。

痛みの内容の伝え方

・横を向いた時に、首の痛みが特にひどい。
・寒い時や天気が悪い時に、痛みが強くなる。

このようなことは、主治医に伝えておいた方が、後遺障害が認定されやすくなるのでしょうか。

後遺障害として認定されるむちうちの神経症状は、じっとしていても痛いという安静時痛、寝ている時も起きている時も痛いという常時痛、常時のしびれと考えられています。
横を向いた時にだけ痛いという動作時痛は、後遺障害として認定されることは、まずありません。

そして、「横を向いた時の首の痛みが特にひどい」と聞いた主治医が、「動作時痛あり」とか、「横を向くと疼痛あり」と理解してしまうと、後遺障害診断書にも、そのようにしか記載してもらえません。
そうすると、症状としては動作時痛しかなく、常時痛はないということになって、後遺障害には当たらないという判断をされてしまう危険があります。

症状を漏らさず全て伝えたいという気持ちはあるでしょう。
しかし、後遺障害認定との関係では、シンプルに、「常に痛い」、「常にしびれている」ことを伝えるのが一番ということになります。
それ以上に、横を向いた時の首の痛みが特にひどいことを伝えたいときは、「常に痛いのだけれども、横を向いた時に痛みが特にひどくなる」と、動作時痛と誤解されないように伝えるべきということになります。

また、「寒い時や、天気が悪い時に、痛みが強くなる」といったことを伝えることも同様です。
気候の変化によって痛みが増すことが、後遺障害認定にプラスに評価されることはありませんので、誤解されないために、このようなことは伝えないというのも、選択肢の一つでしょう。

適正な後遺障害等級が認定されるためには、主治医に症状を正しく伝えて理解してもらった上で、診断書・後遺障害診断書に正確に記載してもらう必要があります。
当事務所では、ご依頼いただいた場合には、弁護士が事前に被害者の方の症状をお聞きして、治療中や後遺障害診断書を書いてもらう際の主治医に対する症状の伝え方についてアドバイスさせていただくこともございます。

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