はじめに

青森県は本州最北端にあり、その冬はとても厳しいです。
青森市や弘前市などは豪雪地帯であり、八戸市などは雪が比較的少ないものの、路面の凍結(アイスバーン)がよく発生します。
青森県の冬には、雪道・凍結路面での交通事故が多発しており、過失割合が問題となることが非常に多いです。
今回のコラムでは、雪道・凍結路面での事故の過失割合について、ご説明させていただきます。

雪道・凍結路面でのスリップ事故

雪道・凍結路面では、路面が滑りやすくなるために、スリップ事故が頻発します。

【スリップ事故の例】
スリップした後続車が先行車に追突する事故。
スリップした先行車に後続車が衝突する事故。
スリップした先行車を避けようとした車に後続車が衝突する事故。
スリップを原因とする玉突き事故など複数台の車が絡む事故。

スリップ事故での過失割合は、スリップした後続車が先行車に追突する事故では、後続車100:先行車0が基本です。
ただし、先行車が急ブレーキをかけたために、後続車も急ブレーキをかけざるを得なくなり、後続車がスリップしたような場合には、先行車にも一定の過失割合が認められるでしょう。

その他の類型のスリップ事故では、以下のような要素を考慮し、事故状況に応じて過失割合が判断されます。

【考慮要素の例】
急ブレーキの有無。
タイヤチェーン・スタッドレスタイヤの装着などスリップ対策の有無。
走行速度。
車間距離。
進行方向の注視・周囲の交通状況の安全確認・適切な自動車操作など自動車運転上の注意義務の違反の有無。

雪道・凍結路面でのその他の事故

青森県の冬の道路では、滑りやすくなる以外にも、様々な道路状況の悪化が発生します。

【道路状況の悪化の例】
降雪・吹雪・地吹雪により見通しが悪化する。
雪堤により視界が遮られる。
雪堤により道路の幅が狭くなる。
わだち・段差によりハンドルを取られやすくなる。

このような道路状況の悪化のために、スリップ事故以外にも、様々な類型の交通事故が多発します。

このような交通事故での過失割合は、まずは別冊判例タイムズ№38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」という書籍を参照することが考えられます。
この書籍では、過去の裁判例などをもとに、様々な事故類型における基本的な過失割合と過失割合の修正要素がまとめられています。
一般的には、この書籍に掲載された過失割合を参照し、実際の道路状況の特殊性も考慮しながら、過失割合を検討していくこととなるでしょう。

【別冊判例タイムズ№38に関するコラム】
●仕事で使うツール③別冊判例タイムズ38

しかし、別冊判例タイムズ№38「民事交通訴訟における過失相殺率の認定基準」では、様々な事故類型が掲載されているものの、掲載事例と合致しないような事故も珍しくありません。
そのような場合には、過去の裁判例も参照しながら、各当事者における自動車運転上の注意義務違反の有無・程度から、過失割合を検討していくこととなるでしょう。

弁護士にご相談ください

以上のように、雪道・凍結路面での事故の過失割合は、専門的な判断が必要となります。
過失割合についてお困りの方は、交通事故に強い弁護士にまずはご相談いただくことをお勧めいたします。
当事務所では、これまでに、雪道・凍結路面での交通事故の事案を数多く取り扱って参りました。
ぜひ一度、お気軽に当事務所にご相談いただければと存じます。

(弁護士・木村哲也)

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