1 後遺障害1級とは?

交通事故で負傷し、治療を行ったものの症状が残ってしまった場合、後遺障害の認定を受けられる可能性があります。
自賠責では自動車損害賠償保障法施行令が症状の種類ごとに定める基準に応じて後遺障害の等級を認定しており、後遺障害の等級によって損害賠償の内容が異なってきます。
後遺障害1級とは、その中で最も重い等級に分類される重大な後遺障害です。
2 後遺障害1級が認められる事故の例
後遺障害1級が認められる基準は後述のとおりであり、重篤な障害を対象としているため、これが発生し得るような事故も重大な事故である場合が多いでしょう。
例として、
・高速度で走行する車両による事故
・歩行者や自転車対自動車の事故
・破損した車両による挟まれや下敷きが発生する事故
といった事故が考えられます。
3 後遺障害1級のうち要介護が認められる症状とその基準とは?
後遺障害1級には要介護の場合と要介護でない場合で2つの基準が存在します。
なお、この基準の違いは、介護費の認定といった点で賠償の内容に関わってきます。
要介護が認められる症状・基準は次のとおりです。
(1)1級1号:神経系統の機能又は精神に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
1級1号にあたり得るのは脳の障害及びせき髄の障害であり、このうち脳の障害は、高次脳機能障害(記憶力、言語力、理解力、判断力といった脳の認知機能に関する障害)と身体的機能障害(麻痺などの神経系統の障害)に分類されます。
それぞれの基準は次のとおりです。
①高次脳機能障害
高次脳機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
・重篤な高次脳機能障害のため、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの
・高次脳機能障害による高度の認知症や情意の荒廃があるため、常時監視を要するもの
②脳の身体性機能障害
身体性機能障害のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
・高度の四肢麻痺が認められるもの
・中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの
・高度の片麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの
※高度の麻痺:障害のある腕又は足の運動性・支持性がほとんど失われ、基本動作(足においては歩行や立位、腕においては物を持ち上げて移動させること)ができないもの
※四肢麻痺:両側の腕及び足の麻痺
※中程度の麻痺:障害のある腕又は足の運動性・支持性が相当程度失われ、基本動作にかなりの制限があるもの
※片麻痺:片側の腕及び足の麻痺
③せき髄の障害
せき髄症状のため、生命維持に必要な身のまわり処理の動作について、常に他人の介護を要するもの
・高度の四肢麻痺が認められるもの
・高度の対麻痺が認められるもの
・中等度の四肢麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの
・中等度の対麻痺であって、食事・入浴・用便・更衣等に常時介護を要するもの
※対麻痺:両腕または両足の麻痺
(2)1級2号:胸腹部臓器の機能に著しい障害を残し、常に介護を要するもの
胸腹部臓器の機能について、後遺障害1級に該当する可能性があるのは、主に呼吸器の障害です。
具体的には、呼吸機能の低下により常時介護が必要なものが後遺障害1級に該当します。
4 後遺障害1級のうち要介護でない場合の症状とその基準とは?
要介護でない場合の症状・基準は次のとおりです。
(1)1級1号:両眼が失明したもの
ここにいう失明とは、眼球を摘出した場合、明暗が全く識別できない場合のほか、ようやく明暗が識別できる程度の場合を含みます。
(2)1級2号:咀嚼及び言語の機能を廃したもの
咀嚼の機能を廃したものとは、流動食以外摂取できない状態をいいます。
言語の機能を廃したものとは、発声方法に応じて4種類に分類される語音である口唇音(ま行、ぱ行、ば行、わ行、ふ)、歯舌音(な行、た行、だ行、ら行、さ行、しゅ、し、ざ行、じゅ)、口蓋音(か行、が行、や行、ひ、にゅ、ぎゅ、ん)、喉頭音(は行)のうち3種類以上が発声できない状態をいいます。
(3)1級3号:両上肢をひじ関節以上で失つたもの
両上肢を肩関節やひじ関節、これらの間から失ったものがこれにあたります。
(4)1級4号:両上肢の用を全廃したもの
両上肢の3大関節(肩関節、ひじ関節、手関節)が強直、すなわちほとんど動かず、すべての手指もほとんど動かない場合のほか、上腕神経叢の完全麻痺により両上肢が全く動かない場合もこれにあたります。
(5)1級5号:両下肢をひざ関節以上で失つたもの
両下肢を股関節や膝関節、これらの間から失ったものがこれにあたります。
(6)1級6号:両下肢の用を全廃したもの
両下肢の3大関節(股関節、ひざ関節、足関節)が強直したものや、これに加えて足指全部が強直したものがこれにあたります。
5 後遺障害1級に認定された場合の慰謝料の相場とは?
慰謝料の基準には、自賠責が定める基準、任意保険会社が定める基準(とはいえ、概ね自賠責の基準と一致するものと考えられます。)、裁判を行った場合の基準の3種類があります。
自賠責基準では、要介護及び被扶養者の有無で金額が異なっており、要介護の場合は1650万円(被扶養者がいる場合は1850万円)、要介護でない場合は1150万円(被扶養者がいる場合には1350万円)です。
これに対し、裁判基準では要介護・被扶養者の有無を問わず2800万円です。
なお、これは後遺障害に対する慰謝料のみの金額であり、入通院に対する慰謝料、就労できなくなったことによる逸失利益、介護費用などは別途請求することができます。
6 交通事故被害を弁護士に相談するメリット
交通事故の被害に遭われた場合には、適切な後遺障害の認定を受け、適切な賠償を受けるべきです。
このことは、後遺障害1級に該当する可能性のあるような重大な被害であるほど特に重要になってきます。
とはいえ、このような重大な被害に遭われており、今後の生活へのご不安もある中、これらに向けた対応をご自身のみで進めることには相応のご負担があると思われます。
弁護士に相談することで、
・適切な後遺障害の認定を受ける
・自賠責基準ではなく、裁判基準で十分な賠償を受ける
・手続面でのご負担を解消する
ことが期待できます。
7 交通事故に関するお悩みは当事務所にご相談ください
重大な交通事故の被害に遭われた際には、今後の生活のことや賠償のことなど、ご不安な点が多いと思います。
そのため、まずは交通事故の専門家である弁護士に相談いただくことをお勧めしております。
当事務所は、被害者側のサポートに注力しており、交通事故被害に関する相談・解決実績が豊富にございます。
交通事故に関してお悩みでしたら、当事務所までご相談いただければと存じます。
(弁護士・神琢磨)










